2007年12月24日月曜日

さわやか「人間力」~ブックログ:堀田力著『「人間力」の育て方』

今年一年を振り返ってみるといろいろありましたが,やはり貴重な経験といえば,株式会社コムスン第三者委員会の委員としての経験です.先般,コムスンの全事業所の譲渡がつつがなく終結したことで(すでに任期は終わっていますが)私もホッとしたところです.いろいろ経験させていただきましたが,そのなかで,改めて委員会の座長をされた堀田力さんの魅力を垣間見させていただけたのも,貴重な経験の一つでした.理念,信念,情熱と知性を傾注される姿勢はとてもまねができないものだと,圧倒された次第です.

その堀田さんが『「人間力」の育て方』(集英社新書)を刊行されました.

前のブログ記事(『鮨屋の人間力』)でも,気になっていたのですが,「人間力」ということばがとてもはやっているようです.数年前,青少年に関する政策を研修で取り上げたときにもちょっと勉強したのですが,政府の文書や政策でも,ある意味で臆面もなく「人間力」ということばが使われているのに,戸惑ったものです(例えば,内閣府 人間力戦略研究会が報告書「若者に夢と目標を抱かせ、意欲を高める~信頼と連携の社会システム~」を2003年に出しています).

堀田さんも「何となく変な言葉だと思います」と述べられておりますが,こうした変な言葉を使わなければいけないところが,昨今の現状なのでしょう.

私も教育者の端くれ(本当に端っこの方にいますが)ですので,なるほどという点もあれば,う~んどうかなという点もないわけではありません.しかし,「自己存在の肯定」が重要だというご指摘は深く首肯.

ミクシ」(どうして?というフィンランド語,だそうです)が自ずと発せられる教育を理想としておりますが,そのためには私自身の精進も必要なのでしょうね.本書で紹介されている,堀田さんの「みんなで作る.イジメをなくす憲法」という授業の試みなどに触れると,反省とともに,意欲もいただきました.